今年度の都立中高一貫校の適性検査Ⅱで、ちょっと首をひねりたくなるような問題と解答例がありました。

<すでに問題は各都立中高一貫校のHP上にありますが、適性検査Ⅱは共通問題で東京都教育委員会が責を負っているので、各都立中高一貫校へのリンクはしません>

大問1 問題3
並べたフロアマットの数と「見かけ上の辺の数」の関係を、「上向きの正三角形」と「下向きの正三角形」という言葉を使って説明しなさい。また、その関係を使って10段目までならべたときの「見かけ上の辺の数」を式を書いて求めなさい。

<学校(都教委)発表の解答例>
〔説明〕
「下向きの正三角形」の辺は、全て「上向きの正三角形」の辺と重なっているので、「見かけ上の辺の数」は、並べたフロアマットの数から「下向きの三角形」の数をひいた「上向きの正三角形」の数の3倍になっている。
〔式〕
100-45=55
55×3=165

問題の素材自体は、私立中学受験の算数でよくみかける規則性の問題で難しくないのですが、【並べたフロアマットの数と「見かけ上の辺の数」の関係】をどうやって書くか、悩んだ受検生も多かったのではないでしょうか?
そういった意味では、この出題の仕方は良くないです。そして学校発表の解答例ですが、並べたフロアマットの数と「見かけ上の辺の数」の関係について、むりやり式にしたような後味の悪さを覚えます。

問題を整理するために、N段目まで並べるとして考えると
並べたフロアマットの数は、四角数(平方数)なので、N×Nとなる。
そして、並べたフロアマットの数は、「上向きの正三角形」の数と「下向きの正三角形」の数の和になる。
「上向きの正三角形」の数は、三角数なので、1+2+…+N=(1+N)×N÷2
「下向きの正三角形」の数も三角数だが、2段目から始まっている。
0+1+2+…+(N-1)=N×(N-1)÷2

つまり「上向きの正三角形」と「下向きの正三角形」の数は、同じやり方で求めるものです。「上向きの正三角形」を求めるために、並べたフロアマットの数と「下向きの正三角形」の数を、それぞれ求めて引くということはナンセンスなのです。

具体的には、表1で10段目までの「上向きの正三角形」の数の55が出ているのだから、〔式〕の100-45=55は必要なく、55×3=165 だけでよいはずです。
〔説明〕で述べた関係を使って、式を書いて求めるということで、100-45=55を書く必要がある。ということだろうと思いますが、とても違和感があります。

おそらく作問者は、
並べたフロアマットの数…A
「上向きの正三角形」の数…B
「下向きの正三角形」の数…C
「見かけ上の辺の数」…D
とおくことで、
A=B+C …①
D=B×3 …②
より、①を変形し、B=A-Cとして、②へ代入
D=(A-C)×3

といった処理を受検生にさせたかったのだと思いますが、せっかくの数列の問題が台無しだなぁ…と思うのは、私が受験算数に漬かり過ぎているからなのかもしれません。